空き家を売らない理由は?相続した実家を放置するリスクと対策

親から相続した実家が空き家になり、どうすれば良いか悩んでいませんか。思い出が詰まった家を売ることに抵抗があったり、手続きが面倒でつい後回しにしてしまったりと、理由は様々でしょう。しかし、空き家の放置は多くのリスクを伴います。

この記事では、空き家を売らない理由を深掘りし、放置することで生じる具体的なリスクと、問題を解決するための対策を分かりやすく解説します。ご自身の状況に合った最善の選択をするためのヒントがきっと見つかるはずです。

目次

相続した実家を売らない7つの理由とは

相続した実家を売らない背景には、金銭的な問題だけでなく、感情的な要因や手続きの煩雑さなど、様々な理由が複雑に絡み合っています。特に、故人との思い出が詰まった家を手放すことへの心理的な抵抗は、大きな障壁となりがちです。

また、将来の利用可能性を考えていたり、他の相続人との意見がまとまらなかったりと、すぐに行動に移せない事情を抱えている方も少なくありません。ここでは、多くの方が空き家を売却せずにいる主な理由を7つに分けて見ていきましょう。

思い出や愛着があり手放したくない

長年暮らした実家には、家族とのたくさんの思い出が刻まれています。リビングで笑い合った日々や、庭で過ごした時間など、その場所ならではの記憶がよみがえり、感情的に手放すことが難しいと感じる方は非常に多いです。

特に、親が大切にしていた家だと思うと、売却することに罪悪感を抱いてしまうこともあります。このように、物件の価値以上に、個人の愛着や思い出が売却を躊躇させる大きな要因となっているのです。

将来自分で住む可能性を考えている

現在は別の場所に住んでいても、将来的にUターンして実家に住むことを考えている方もいます。定年退職後や、子どもの独立を機に、生まれ育った場所で暮らしたいという希望から、空き家を維持しているケースです。

また、都会から離れたセカンドハウスとして利用したり、子や孫の世代が使う可能性を考慮したりと、将来のライフプランのために売却を保留することもあります。すぐに結論を出さず、選択肢として残しておきたいという思いがあるのです。

売却手続きが面倒で後回しにしている

不動産の売却には、不動産会社の選定、査定依頼、必要書類の準備、内覧対応、契約手続きなど、多くの手順が必要です。特に相続が絡む場合は、名義変更などの手続きも加わり、さらに煩雑に感じられます

仕事や日々の生活で忙しい中、これらの手続きを進めるのが億劫で、つい後回しにしてしまうケースは少なくありません。「いつかやろう」と思っているうちに時間が経過し、空き家放置につながってしまうのです。

解体やリフォームの費用負担が大きい

建物が古く、そのままでは売却が難しい場合、解体して更地にするか、リフォームして価値を高めるかという選択肢があります。しかし、どちらも数十万円から数百万円という高額な費用負担が発生する可能性があります。

この解体費用やリフォーム費用を捻出するのが難しく、売却に踏み切れないという方もいます。自治体によっては解体費用の補助金制度がある場合もありますが、それでも自己負担が重荷となり、行動をためらってしまうのです。

他の相続人との意見がまとまらない

実家を兄弟姉妹など複数の相続人で共有している場合、全員の意見が一致しないと売却は進められません。「売りたい人」と「残したい人」で意見が分かれ、話し合いがまとまらずにトラブルへと発展するケースも珍しくありません。

各相続人の経済状況や実家への思い入れが異なるため、合意形成は非常に難しい問題です。この相続トラブルが原因で、結局誰も管理しないまま空き家として放置されてしまうことが、日本で空き家が増える理由の一つです。

売却しても利益が出ないと思っている

「田舎だからどうせ売れない」「建物が古すぎるから価値がない」など、売却しても大した金額にならないだろうと初めから諦めているケースです。売却にかかる手間や仲介手数料を考えると、割に合わないと感じてしまうのです。

しかし、その思い込みは正確な査定に基づかない場合が多く、専門家に相談すれば予想外の価格で売れる可能性もあります。立地や築年数を理由に、市場に出すという選択肢すら考えずにいることが、空き家放置の原因になっています。

固定資産税が安くなる特例を受けている

土地の上に住宅が建っている場合、「住宅用地の特例」により固定資産税が最大で6分の1に軽減されています。しかし、建物を解体して更地にしてしまうと、この特例が適用されなくなり、税金が大幅に上がってしまいます

すぐに売れる見込みがないのに解体してしまうと、税負担だけが増えることになります。この税制上のデメリットを避けるために、使う予定のない古い家をあえて残しているというのも、空き家を壊さない理由の一つです。

空き家を売らないで放置する5つのリスク

思い出の詰まった実家をそのままにしておきたい気持ちは分かりますが、空き家を売らないで放置することには多くのリスクが伴います。経済的な負担が増えるだけでなく、資産価値の低下や近隣トラブルなど、様々な問題を引き起こす可能性があります。

何も対策をせずにいると、最終的にはご自身やご家族にとって大きな負債となりかねません。空き家放置がもたらす具体的なリスクを正しく理解し、手遅れになる前に行動することが重要です。ここでは主な5つのリスクについて解説します。

維持費や固定資産税がかかり続ける

空き家は所有しているだけで、様々な維持コストがかかり続けます。誰も住んでいなくても、毎年必ず固定資産税や都市計画税を納めなければなりません。これは所有者である限り続く、避けられない負担です。

それに加え、定期的な庭の手入れや建物の小規模な修繕、火災保険料なども必要になります。これらの費用は年間で数十万円にのぼることもあり、長期間放置すればするほど経済的な負担は雪だるま式に増えていくのです。

空き家の年間維持費(目安)
項目 費用(年間)
固定資産税・都市計画税 10万円~20万円
火災保険料・地震保険料 2万円~5万円
水道光熱費(基本料金) 2万円~4万円
庭の手入れ・管理委託費 5万円~10万円
合計 19万円~39万円

特定空き家に指定される可能性がある

管理が行き届かず、倒壊の危険性があったり、衛生上・景観上有害だと判断されたりした空き家は、行政から「特定空家」に指定されることがあります。特定空家に指定されると、様々なペナルティが課せられます。

最も大きなデメリットは、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、税額が最大で6倍に跳ね上がることです。さらに、行政からの改善命令に従わない場合は過料が科され、最終的には行政代執行によって強制的に解体され、その費用を請求される可能性もあります。

建物の老朽化で資産価値が下がる

家は人が住まなくなると、驚くほど早く劣化が進みます。換気がされないことで湿気がこもり、カビや腐食が発生しやすくなるためです。壁のひび割れや雨漏りなど、放置期間が長くなるほど建物の老朽化は深刻になります

建物の状態が悪化すれば、当然ながら不動産としての資産価値はどんどん下がっていきます。「いつか売ろう」と思っていても、いざ売却を決断したときには、修繕に多額の費用がかかるか、最悪の場合、建物に価値がなくなってしまう恐れがあります。

倒壊や不法侵入など近隣トラブルの原因に

管理されていない空き家は、地域社会にとって大きなリスクとなります。老朽化による建物の倒壊や、強風で屋根材が飛散して近隣の家屋や通行人に被害を与える危険性があります。万が一事故が起きた場合、その責任は所有者が負うことになります

また、不法侵入や不法投棄、放火などの犯罪の温床になったり、害虫や害獣が発生して近隣に迷惑をかけたりと、様々なトラブルの原因になります。ご近所付き合いが悪化し、大きな問題に発展する前に、適切な管理が求められます。

相続税の特例が使えなくなる場合も

相続した実家を売却した場合、「相続空き家の3,000万円特別控除」という税制上の特例を使える可能性があります。これは、売却で得た利益(譲渡所得)から最大3,000万円を控除できる制度で、譲渡所得税を大幅に節税できます。

しかし、この特例には適用期限があり、「相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで」に売却する必要があります。空き家を放置している間にこの期間を過ぎてしまうと、大きな節税の機会を逃してしまうことになるのです。

売りたくても売れない空き家の主な原因

空き家を売却しようと決心しても、様々な要因で買い手が見つからず、結果的に「売れない空き家」として残り続けてしまうケースがあります。立地条件や物件の状態、法的な制約などが、売却の大きな壁となるのです。

なぜ自分の実家は売れないのだろうと悩んでいる方は、その原因を正しく把握することが解決への第一歩です。ここでは、空き家が売却困難に陥る主な原因を3つ挙げ、それぞれの問題点について詳しく見ていきます。

立地が悪く買い手が見つからない

不動産の価値を大きく左右するのが立地条件です。駅から遠い、バスの本数が少ないなど交通の便が悪かったり、周辺にスーパーや病院などの生活利便施設がなかったりすると、買い手の需要は著しく低下します

特に地方の過疎化が進むエリアでは、そもそも住宅の購入希望者が少ないため、売却はさらに困難になります。こうした物件は、価格を大幅に下げなければ買い手を見つけるのが難しいのが実情です。

再建築不可物件で活用が難しい

現在の建築基準法では、幅員4m以上の道路に2m以上接していなければ建物を建てられない「接道義務」があります。古い市街地にある物件の中には、この条件を満たせず、現在の建物を解体すると二度と家を建てられない「再建築不可物件」が存在します。

このような物件は、購入しても建て替えができず、活用方法がリフォームなどに限定されるため、買い手を見つけるのが非常に困難です。資産価値も低く評価され、金融機関の住宅ローン審査が通りにくいという問題もあります。

権利関係が複雑で手続きが進まない

相続が繰り返された結果、土地や建物の名義人が多数存在し、共有状態になっているケースがあります。売却には共有者全員の同意が必要ですが、中には連絡が取れない人や、売却に反対する人がいると手続きは進みません

また、土地の境界が隣地と確定していなかったり、抵当権が設定されたままになっていたりすると、買い手は安心して購入できません。こうした複雑な権利関係を整理するには、専門的な知識と多大な労力が必要となります。

空き家問題を解決するための具体的な対策

空き家を放置するリスクや、売れない原因を理解した上で、次はいよいよ具体的な解決策を検討する段階です。所有する空き家の状況やご自身の意向に合わせて、売却、活用、専門家への相談など、様々な選択肢があります。

一つの方法に固執せず、複数の選択肢を比較検討することが、後悔しないための重要な鍵となります。ここでは、空き家問題を解決するための5つの具体的な対策を紹介しますので、ご自身の状況に最も合う方法を見つけてください。

解体して更地として売却を検討する

建物が著しく老朽化していてリフォームも難しい場合、思い切って解体し、更地として売却する方法があります。買い手は自由に新しい家を建てられるため、古い家付きの土地よりも需要が高まり、早く売れる可能性があります

ただし、前述の通り解体費用がかかることや、固定資産税が上がるといったデメリットも考慮しなければなりません。売却の見込みや解体費用、税金の変動額などを不動産会社と相談しながら、慎重に判断することが大切です。

リフォームして賃貸物件として活用する

もし空き家の立地が良く、賃貸の需要が見込めるエリアであれば、リフォームして賃貸物件として活用するのも有効な手段です。家賃収入によって維持費をまかない、収益資産に変えることができます

初期投資としてリフォーム費用が必要になりますが、思い出の家を手放さずに済み、将来的に自分で住むという選択肢も残せます。ただし、入居者管理や建物のメンテナンスなど、大家としての責任も生じることを理解しておく必要があります。

専門の買取業者に直接売却する

仲介での売却が難しい物件でも、「買取」という方法なら売却できる可能性があります。買取とは、不動産会社が直接その物件を買い取る仕組みです。最大のメリットは、スピーディーに現金化できる点です。

また、契約不適合責任(以前の瑕疵担保責任)が免除されることが多く、現状のままで引き渡せるため、売却後のトラブルの心配がありません。ただし、買取価格は市場価格の7〜8割程度になるのが一般的です。

空き家バンクに登録して希望者を探す

空き家バンクは、主に自治体が運営している、空き家を売りたい・貸したい人と、買いたい・借りたい人をマッチングさせるための情報サイトです。地方への移住希望者や、古民家を探している人など、特定の需要に応えることができます

自治体によっては、空き家バンクの利用者にリフォーム補助金などを提供している場合もあります。一般的な不動産市場では買い手が見つかりにくい物件でも、新たな活路を見いだせるかもしれません。

国や自治体の補助金制度を活用する

空き家問題は社会的な課題となっており、国や多くの自治体がその対策として補助金制度を設けています。空き家の解体費用や、耐震改修、リフォーム費用の一部を補助してくれる制度など、内容は様々です。

これらの制度を上手に活用すれば、費用負担を軽減しながら空き家問題の解決に繋げることができます。まずは、お住まいの自治体のホームページを確認したり、役所の担当窓口に相談したりして、利用できる制度がないか調べてみましょう。

まとめ:空き家問題は早めの対策が重要

相続した実家を売らない理由は、思い出や愛着といった感情的なものから、手続きの煩雑さ、経済的な問題まで多岐にわたります。しかし、その一方で、空き家を放置し続けることには、維持費の負担や資産価値の低下、近隣トラブルといった多くのリスクが伴います

問題を先送りにせず、まずはご自身の空き家の現状を正しく把握することが大切です。そして、解体やリフォーム、買取、空き家バンクの活用など、様々な解決策の中から最適な方法を見つけ、一日でも早く行動に移すことが、後悔しないための最善の道と言えるでしょう。

空き家の売却や管理に関するよくある質問

空き家を放置すると倒壊の責任は誰が負う?

空き家が倒壊し、隣家や通行人などに被害を与えてしまった場合、その損害賠償責任は、原則としてその空き家の所有者が負うことになります。民法第717条(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)で定められています。

たとえ遠方に住んでいて直接管理していなくても、所有者である限り責任から逃れることはできません。適切な管理を怠っていたと判断されれば、多額の賠償金を請求される可能性があります。火災保険への加入や定期的な点検が不可欠です。

住んでいない家はなぜ劣化が早くなるの?

人が住んでいない家は、人の出入りによる空気の入れ替えがなくなるため、湿気がこもりやすくなります。湿気は木材を腐らせたり、カビを発生させたりする原因となり、建物の構造的な強度を著しく低下させます

また、日常的な掃除やメンテナンスが行われないため、雨漏りや設備の不具合といった初期の異常に気づくのが遅れがちです。ネズミなどの害獣が住み着き、柱や配線を傷つけることも、劣化を早める一因となります。

空き家の放置で発生するデメリットとは?

空き家を放置することには、多くのデメリットがあります。ご自身の資産を守り、周囲に迷惑をかけないためにも、これらのリスクを正しく認識しておくことが重要です。主なデメリットは以下の通りです。

  • 経済的負担:固定資産税や維持管理費が継続的に発生する。
  • 資産価値の低下:建物の老朽化が進み、不動産としての価値が下がる。
  • 近隣トラブル:倒壊、火災、害虫発生、景観悪化などで近隣に迷惑をかける。
  • 行政からの指導:「特定空家」に指定され、税金が増えたり、過料が科されたりする。
  • 犯罪リスク:不法侵入や不法投棄、放火などの犯罪の温床になる。

住んでいない実家の売却で3000万円控除は使える?

「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」、通称「相続空き家の3,000万円特別控除」は、一定の要件を満たせば利用できます。最も重要な要件は、相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することです。

その他にも、被相続人が亡くなる直前まで一人で住んでいたこと、売却代金が1億円以下であること、家屋の耐震基準を満たしているか、または家屋を解体して土地のみを売却することなどの条件があります。詳しくは国税庁のホームページや税理士にご確認ください。

絶対に売却を避けるべき土地の特徴は?

一般的に売却が非常に困難で、専門家でも取り扱いを避けるような土地も存在します。例えば、土壌汚染の可能性が高い土地(工場跡地など)や、隣地との境界が未確定でトラブルになっている土地などが挙げられます。

また、極端な不整形地や傾斜地、再建築不可物件の中でも特に活用が難しいもの、権利関係が複雑すぎて整理に多大な費用と時間がかかる土地なども、無理に売却しようとするとかえって損をする可能性があります。まずは専門の不動産会社に相談することが賢明です。

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