家の売却相場、築年数でいくら下がる?グラフでわかる価値の目安

「築年数が古い我が家、一体いくらで売れるのだろう…」とお悩みではありませんか。家の価値は年々下がると言われますが、具体的な相場が分からず、安く買い叩かれてしまうのではないかと不安になりますよね。

この記事では、築年数による戸建ての売却相場の推移をグラフと共に分かりやすく解説します。築古でも価値が落ちにくい家の特徴や、相場より高く売るためのコツもご紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

目次

築年数で家の売却相場はこう変わる

家の売却相場は、築年数の経過と共に下落するのが一般的です。しかし、価格の決まり方を正しく理解すれば、築年数が古くても有利に売却を進められる可能性があります。大切なのは「建物」と「土地」の価値を分けて考えることです。

特に木造戸建ては、マンションに比べて資産価値の下落スピードが速い傾向にあります。ここでは、家の価値がどのように評価され、築年数によってどう変化していくのか、その基本的な仕組みを解説します。

建物と土地の価値は別々に評価される

不動産の価格は、建物そのものの価値と、建物が建っている土地の価値を合算して決まります。建物は時間と共に劣化し価値が下がりますが、土地の価値は立地条件や周辺環境、都市開発などによって変動します。

そのため、たとえ建物が古くなったとしても、土地の価値が高ければ全体の売却価格は維持、あるいは上昇することもあります。この二つの要素を分けて考えることが、適正な売却相場を把握する第一歩です。

戸建ては築20年で価値がほぼゼロに?

木造戸建ての場合、税法上の「法定耐用年数」は22年と定められています。このため、不動産市場では築20年を過ぎると建物の資産価値はほぼゼロと評価されることが多く、土地の価格のみで取引されることも珍しくありません。

このような物件は「古家付き土地」と呼ばれます。ただし、これはあくまで一般的な評価上の話であり、リフォームなどで状態が良ければ、築20年を超えても建物の価値が認められるケースは十分にあります。

マンションとの資産価値の下落率の違い

戸建てとマンションでは、資産価値の下落の仕方に違いがあります。一般的に、木造の戸建ては価値の下落スピードが速く、築15年〜20年で急激に価格が下がります。

一方、鉄筋コンクリート造のマンションは法定耐用年数が47年と長く、価値の下落は比較的緩やかです。ただし、戸建ては土地の所有権が明確なため、立地によっては土地の価値が価格を支える大きな要因となります。

【築年数別】戸建て売却相場の推移

戸建ての売却相場は、築年数に応じて一定の傾向で推移します。新築から時間が経つにつれて価格は下落しますが、その下落幅は時期によって異なります。特に価格が大きく動くタイミングを知っておくことが重要です。

ここでは、築年数をいくつかの段階に分け、それぞれの売却相場の目安と特徴を解説します。ご自身の家の築年数と照らし合わせながら、売却計画の参考にしてください。

築年数別・中古戸建ての平均成約価格(首都圏)
築年数 平均成約価格
〜5年 5,131万円
6〜10年 5,034万円
11〜15年 4,777万円
16〜20年 4,384万円
21〜25年 4,122万円

築5年から10年の売却相場と特徴

築5年〜10年の物件は、まだ新しさが残り、設備も比較的新しいため中古市場で高い人気を誇ります。新築時からの価格下落も比較的緩やかで、高値での売却が期待できる時期です。

例えば、3,000万円で購入した家でも、10年後の価値が大きく下がっていないケースも珍しくありません。買主にとっては、新築より手頃な価格で状態の良い家を手に入れられるため、需要が安定しています。

築20年から25年の売却相場と特徴

築20年〜25年は、戸建て売却における一つの大きな転換期です。建物の資産価値が大きく下落し始める時期ですが、リフォームの有無によって評価が大きく分かれます。この時期の売却相場を把握することが重要です。

水回りなどの設備に不具合が出始める頃でもあるため、売却前にメンテナンスを行うかどうかが価格に影響します。一方で、価格が手頃になるため、購入を検討する層も依然として多く存在します。

築30年から40年の売却相場と特徴

築30年〜40年になると、建物の価値はほとんどゼロに近いと見なされ、売却価格の大部分を土地の価値が占めるようになります。築40年の一戸建ての売却相場は、まさにその土地の評価額が反映されます。

買主は購入後に大規模なリフォームやリノベーションを前提に検討することが多いため、建物の状態よりも立地条件が重視される傾向が強まります。売却方法にも工夫が必要になる時期です。

築50年以上の売却相場と売却方法

築50年以上の一戸建ては、そのまま「中古住宅」として売却するのは難しくなる場合があります。売却方法は主に「古家付き土地」として売るか、「解体して更地」として売るかの二択になります。

ただし、趣のある古民家として再生可能な物件や、希少価値のある建材が使われている場合などは、特定の買主に高値で評価される可能性も秘めています。専門家と相談し、最適な売却戦略を立てましょう。

築年数が古くても価値が落ちにくい家の特徴

築年数が経過しても、すべての家の価値が一律に下がるわけではありません。いくつかの好条件が揃っていれば、古い家でも資産価値を維持しやすく、高値での売却が期待できます。重要なのは、立地と家の状態です。

これから紹介する特徴にご自身の家が当てはまるか確認してみてください。もし該当する点があれば、それが売却時の大きなアピールポイントとなり、有利な取引につながる可能性があります。

人気のエリアや好立地にある家

家の価値を大きく左右するのが立地条件です。駅から近い、複数の路線が利用できる、都心へのアクセスが良いといった交通の便が良い場所は、いつの時代も需要が高く、資産価値が落ちにくい傾向にあります。

また、スーパーや病院、学校などが近くにあり生活利便性が高いエリアも人気です。周辺で再開発計画などがあれば、将来的にさらに価値が上がる可能性もあり、売却時に有利な材料となります。

適切なリフォームやメンテナンス履歴

建物の価値を維持するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。外壁の塗装や屋根の修理、水回りの設備交換などが適切に行われている家は、同じ築年数の物件よりも高く評価されます。

いつ、どのような修繕やリフォームを行ったかの履歴(記録)をしっかり保管しておくと、買主へのアピール材料となり、安心感を与えることができます。これが査定額アップにつながることも多いです。

土地そのものの価値が下がりにくい

土地の形状や条件も、不動産の価値を左右する重要な要素です。例えば、道路に広く面している、角地である、正方形に近い整形地であるといった土地は、活用しやすいため人気が高く、価値が下がりにくいです。

逆に、旗竿地や不整形地、前面道路が狭いといった土地は評価が低くなる傾向があります。土地の資産価値を正しく把握することが、適正な売却価格を知る上で非常に重要になります。

家の売却相場を自分で調べる4つの方法

不動産会社に査定を依頼する前に、自分でもある程度の相場観を掴んでおくことは非常に重要です。相場を知ることで、提示された査定額が妥当かどうかを判断する基準を持つことができます。複数の方法を組み合わせるのがおすすめです。

インターネットなどを活用すれば、誰でも手軽に相場情報を集めることが可能です。ここでは、ご自身の家の価値を把握するために役立つ4つの具体的な方法をご紹介します。

不動産情報サイトで類似物件を検索

最も手軽な方法が、SUUMOやLIFULL HOME’Sといった不動産情報サイトの活用です。ご自身の家と似た条件(エリア、広さ、築年数、間取りなど)の物件がいくらで売り出されているかを調べることで、大まかな相場を把握できます。

ただし、これはあくまで「売出価格」であり、実際に売れた「成約価格」とは異なる点に注意が必要です。市場の動向やライバル物件の価格設定を知るための参考情報として役立てましょう。

レインズで実際の成約価格を確認する

より正確な相場を知るには、実際の「成約価格」を調べることが重要です。不動産会社が利用する「レインズマーケットインフォメーション」というサイトでは、過去の不動産取引の成約価格情報を誰でも閲覧できます。

個人情報が特定できない形でデータが公開されており、エリアや築年数などを指定して検索が可能です。売り出し中の価格だけでなく、実際に売れた価格を知ることで、より現実的な相場観を持つことができます。

路線価や公示価格から土地の価値を把握

建物の価値が低い古い家の場合、土地の価値が売却価格の大部分を占めます。国税庁が公表する「路線価」や国土交通省の「地価公示」を参考にすることで、土地のおおよその価格を計算することができます。

路線価は相続税などの基準となり、公示価格は公共事業の用地買収などの基準になります。実際の取引価格とは異なりますが、土地の資産価値を客観的に評価する上で非常に有効な指標です。

複数の不動産会社に査定を依頼する

最も正確な売却相場を知るための最善の方法は、複数の不動産会社に査定を依頼することです。1社だけでなく、最低でも3社以上に依頼し、それぞれの査定額とその根拠を比較検討することが重要になります。

不動産一括査定サイトなどを利用すれば、一度の入力で複数の会社にまとめて依頼できるため便利です。各社の査定結果を比べることで、ご自身の家の適正な市場価値が見えてくるでしょう。

古い家を相場より高く売却するためのコツ

「築年数が古いから高く売るのは難しい」と諦める必要はありません。少しの工夫と準備で、家の魅力を最大限に引き出し、相場以上の価格で売却することは十分に可能です。大切なのは買主の視点に立つことです。

内覧時の印象アップから、専門家による診断、そして売却方法の選択まで、古い家を少しでも有利な条件で売却するための具体的なコツを4つご紹介します。ぜひ実践してみてください。

内覧前の掃除や片付けで印象を良くする

購入希望者が家を訪れる「内覧」は、売却の成否を分ける非常に重要な機会です。清潔で整理整頓された空間は、買主に「この家を大切に使ってきたんだな」という良い印象を与えます。

特に玄関、キッチン、トイレ、浴室などの水回りは念入りに掃除しましょう。不要な物を片付けて部屋を広く見せることも効果的です。第一印象を良くすることが、高値売却への近道となります。

ホームインスペクションで安心感を付与

古い家を購入する買主が最も不安に思うのは、雨漏りやシロアリ、建物の傾きといった目に見えない欠陥です。専門家による住宅診断「ホームインスペクション」を実施し、建物の状態を明確にすることで、買主は安心して購入を検討できます。

問題がないことが証明されれば大きなアピールポイントになりますし、もし欠陥が見つかっても、事前に修繕したり価格交渉の材料として開示したりすることで、後のトラブルを防ぐことができます。

解体して更地として売却する選択肢

建物の傷みが激しく、リフォームにも多額の費用がかかる場合は、家を解体して「更地」として売却する方が高く売れることがあります。買主は自由に新しい家を建てられるため、土地を探している層にアプローチできます。

ただし、解体には費用がかかる上、更地にすると固定資産税が高くなるというデメリットもあります。周辺の土地の需要や解体費用を考慮し、不動産会社と相談しながら慎重に判断しましょう。

売却実績が豊富な不動産会社を選ぶ

古い家の売却には、特有のノウハウが必要です。そのため、同様の物件の売却実績が豊富な不動産会社をパートナーに選ぶことが成功の鍵を握ります。会社の規模だけでなく、担当者の知識や経験、熱意も見極めましょう。

物件の魅力を最大限に引き出す販売戦略を提案してくれるか、査定価格の根拠を明確に説明してくれるかなどをチェックし、信頼できる不動産会社を見つけることが、高値売却につながります。

家の売却で後悔しないための注意点

家の売却は、多くの人にとって一生に何度も経験することではありません。だからこそ、後で「こうすれば良かった」と後悔しないために、事前に知っておくべき注意点があります。焦らず、慎重に進めることが何よりも大切です。

ここでは、家の売却でよくある失敗例を基に、最低限押さえておきたい3つの注意点を解説します。これらを知っておくだけで、売却活動をスムーズに進め、納得のいく結果を得られる可能性が高まります。

1社の査定額だけで売却価格を決めない

家の売却でやってはいけないことの代表例が、1社だけの査定額を鵜呑みにして売却価格を決めてしまうことです。査定額は不動産会社によって数十万円、時には数百万円もの差が出ることがあります。

必ず複数の会社から査定を取り、それぞれの査定の根拠を詳しく聞きましょう。単に高い査定額を提示するだけでなく、なぜその価格なのかを納得できるように説明してくれる会社を選ぶことが重要です。

売れないからと焦って値下げをしない

家を売りに出しても、すぐに買主が見つからないことは珍しくありません。しかし、売れないからといって焦って安易に値下げをするのは避けましょう。まずは、なぜ売れないのか原因を分析することが先決です。

価格設定が相場より高いのかもしれませんし、販売活動の方法に問題があるのかもしれません。不動産会社の担当者と相談し、内覧時のフィードバックを参考にするなど、戦略を練り直してから値下げを検討しましょう。

契約不適合責任のリスクを理解しておく

売却した家に、契約書に記載のない欠陥(雨漏りやシロアリなど)が後から見つかった場合、売主は買主に対して責任を負わなければなりません。これを「契約不適合責任」といい、修繕費用の負担などを求められる可能性があります。

こうしたトラブルを避けるためにも、家の状態については、把握している欠点も含めて正直に買主に伝えることが非常に重要です。事前にホームインスペクションを行うこともリスク軽減につながります。

まとめ:築年数を理解し家の売却を成功へ

家の売却相場は築年数に大きく影響されますが、それが全てではありません。建物の価値は築20年ほどで大きく下がりますが、土地の価値やメンテナンス状況、立地条件によって、最終的な売却価格は大きく変わります。

まずはこの記事で紹介した方法でご自宅のおおよその相場を把握し、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。正しい知識と信頼できるパートナーと共に、後悔のない家の売却を実現してください。

家の売却相場に関するよくある質問

家の売却を検討する際、多くの方が抱く共通の疑問があります。ここでは、特に質問の多い5つの項目について、分かりやすくお答えします。売却活動を始める前の不安解消にぜひお役立てください。

具体的な年数や金額の目安を知ることで、ご自身の売却計画をより現実的に立てられるようになります。個別の状況によって答えは変わりますので、最終的には専門家である不動産会社にご相談ください。

家を売るなら築何年までが目安ですか?

売却に「何年まで」という明確な期限はありません。しかし、一般的に建物の資産価値が大きく下がる前の「築15年〜20年」が一つの目安とされています。この時期までは、比較的高い価格での売却が期待できます。

もちろん、築20年を超えた家でも、立地が良かったり適切にリフォームされていたりすれば、十分に売却は可能です。家の状態や市場の状況に合わせて最適なタイミングを見極めることが大切です。

一戸建ての建物の価値は何年でなくなりますか?

税法上の基準である「法定耐用年数」では、木造住宅は22年と定められています。そのため、不動産取引の評価上は、築20年〜25年程度で建物の価値はほぼゼロと見なされることが一般的です。

ただし、これはあくまで評価上の話です。実際の建物の寿命はメンテナンス次第で大きく延びますし、買主がその価値を認めれば、築年数が古くても価格に反映されるケースは十分にあります。

購入価格3000万円の家は20年後にいくら?

これは立地条件によって大きく異なります。仮に建物価格1500万円、土地価格1500万円だった場合、20年後には建物価値はほぼゼロになり、土地の価値が売却価格の基準となります。

もしその土地の価値が20年間で1800万円に上昇していれば、売却価格も1800万円前後が目安になります。逆に土地の価値が下がれば、それ以下の価格になる可能性もあり、一概には言えません。

築25年の家はあと何年くらい住めますか?

建物の寿命は、構造やこれまでのメンテナンス状況によって大きく異なります。適切に管理されていれば、築25年の家でもあと20年、30年と住み続けることは可能です。

ただし、長く住むためには、今後必要になるであろうリフォームや修繕計画も考慮に入れる必要があります。専門家によるホームインスペクション(住宅診断)を受けることで、建物の現状を正確に把握できます。

売却が難しくなる家の特徴はありますか?

以下のような特徴を持つ家は、売却が難しくなる傾向があります。

  • 法律上の問題で再建築ができない「再建築不可物件」
  • 駅から遠い、周辺に商業施設がないなど「立地条件が悪い物件」
  • 過去に事件や事故があった「心理的瑕疵物件」
  • 土地の形が特殊な「不整形地」

これらの物件の売却は専門的な知識が必要なため、訳あり物件に強い不動産会社に相談することをおすすめします。

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